高齢者の転倒を予防しよう-転倒要因と対策- 

10月10日は、転倒予防の日です。

高齢になると、日常生活の中で、つまずいたり滑ったり転びやすくなります。骨折など大きなけがをすると、なかなか治らず、寝たきりになってしまうこともあります。最近は自宅での転倒が多く、注意が必要です。高齢者が転倒するとなぜ危険なのか、転倒の原因、そして今からできる転倒対策についてまとめました。

危険!高齢者が転倒するとどうなるのか

高齢者が転倒すると骨折など大きなけがをしやすくなります。また、若いころに比べて、けがの回復に時間がかかります。治るまで、体を動かさない「寝たきり」状態が長く続くと、急激に体力が衰えてしまいます。転倒によるけがが原因で、「要介護」状態になってしまう場合があるのです。

特に、女性は加齢とともに骨密度が減少するので、転ぶと骨が折れやすくなります。日常生活の中でも、女性の転倒リスクが年齢とともに高くなるので、注意が必要です。今まで元気に家事をこなしたり、こまめに体を動かしていた人ほど、転倒によるけがで寝たきりになると、からだの機能が急激に低下します。けがが回復しても、一人で歩けなくなり、認知機能が衰えて、老化が進んでしまうこともあります。

また、転倒したことで自信を失くして不安で外出を控えたり、痛みや疲れ、急激な体力の低下で体を動かさなくなると、さらに身体や脳の機能が衰え悪循環に陥ってしまいます。

高齢者の転倒は、「ちょっと転んだだけなのに…」と思っても、取り返しがつかないことがあります。その危険性を理解し、日ごろから転ばないように注意することが重要なのです。

高齢者が転倒する理由

なぜ、高齢者がなぜ転倒するのか、その原因についてみてみましょう。

転倒の原因にはさまざまありますが、大きく2つの要因に分けられます。

1つ目は、生活環境などが原因となる「外的要因」です。自宅でのちょっとした段差でつまずいたり、お風呂場や濡れている床で滑ったりするなど、生活環境などが原因で転倒する場合です。

2つ目は、高齢者自身の身体的なことが転倒の原因となる「内的要因」です。例えば、筋力の低下でよくつまずく、バランスが崩れて転ぶ、加齢や運動不足による身体機能の低下などが原因で歩行が不安定になる、病気や薬の副作用などでふらついて転倒につながる、といった場合があげられます。

外的要因:生活環境などが原因で転倒する
・マットでつまずく
・段差でつまずく
・濡れている床で滑る など

内的要因:身体的なことが原因で転倒する
・加齢による身体機能の低下
・病気や薬の影響
・筋力・バランス能力の低下 など

外的要因は内的要因よりも改善することが容易です。

2つの要因が重なると、転倒のリスクが高まります。転倒の原因を2つの側面からみて、少しでも転倒リスクを取り除くことが大切です。内的要因は外的要因にくらべ、すぐに転倒防止の効果がみえにくいです。まずは、高齢者の生活環境を見直し、外的要因を取り除きましょう。

高齢者の転倒防止のために

高齢者の転倒は、日常生活や住みなれた家の中で多いです。特に、女性の転倒リスクが年齢とともに高くなります。

転倒を防止するために、住みなれた家や生活環境を見直し、転びそうな場所を確認しましょう。段差をなくしたり、手すりや足元灯をつけるなど、安全な環境に整えることが重要です。マットや物につまずいたり、スリッパや床に置いてある新聞紙などが滑ることもあります。床に物を置かないなど、家をきれいに片付けることも大切です。お風呂場や夜中・寝起きのトイレも転倒が多いので注意が必要です。

加齢による衰えを止めることはできませんが、意識して転倒しないように毎日の生活を見直して、転倒しない生活環境に改善しましょう。さらに、運動不足を改善したり、病気を治したり、服用している薬を変更あるいは減らしたりすることで、転倒・寝たきり・要介護の状態を防ぐことができます。

転んでも大きなけがにならないよう、日ごろからこまめに体を動かし、筋力とバランスを維持し、歩いて転ばない体を維持しましょう。

ARuku編集部 

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