転倒しやすい歩き方チェック-歩いて転ばない体づくり-

いつまでも、元気で歩きたい。

歩いているとき転びそうになって、ヒヤッとしたことはありませんか?転倒の危険は高齢者だけでなく、50代以上の働き世代にも。特に、体力の衰えを感じている人は、転びやすい歩き方になっているかもしれません。

何もないところでつまずいたり、歩くのが遅くなってきたりするのは、歩き方が不安定になって「転びやすい人」になっているサインです。今回は、転びやすいかどうかチェックできる「歩行老化のサイン」と、転倒を予防する歩き方のポイントをご紹介します。

転倒しやすい歩き方

「老化は足からやってくる」といわれるように、歩き方にも老化現象がみられます。歩くのが遅くなったり、つまずきやすくなったり…。年齢を重ねるごとに、少しずつ歩き方が変化しますが、歩き方を見ると転倒しやすいかどうかがわかります。

なぜなら、転びやすい歩き方は、歩くときに使われる筋力・バランス能力の低下と大きく関係しているからです。運動不足や加齢にともなって、筋力とバランス能力が衰えてくると、歩き方が不安定になり転びやすくなってきます。

特に、足腰の衰えを感じている中高年の人は、転びやすい歩き方になっている場合が多いです。転びやすい人は、歩行が老化し始めている可能性があります。転倒は骨折など大きなけがを招き、要介護や寝たきりの引き金になってしまうので早めの対策が必要です。

転びやすい歩き方チェック!

歩行開発研究所は、転倒につながる「不安定な歩き方」を筋肉の働きから解析し、それをもとに「歩行老化7つのサイン」を作成しました。歩き方から不安定な「転びやすい歩き方」になっていないかをチェックしてみましょう。

【歩行老化のサイン】

  1. 猫背歩行:背中が曲がってきた
  2. 膝曲がり歩行:膝が曲がって、腰が低くなってきた
  3. 二直線歩行:両足の横幅が広くなってきた
  4. 小股スロー歩行:小股になって、歩くのが遅くなってきた
  5. すり足歩行:よくつまずくようになってきた
  6. 足腰屈曲大歩行:脚や腰が曲がり歩くのがしんどくなってきた
  7. 不安定歩行:ふらついたり、転倒しそうになってきた

【歩行の老化度チェック】

<チェックの数が0個…安定した成人型歩行>
<1~2個…歩行が老化し始めている>
<3~5個…歩行が老化している>
<6~7個…転倒しやすい不安定な老人型歩行>

転倒を防ぐには歩くことが大切

転倒を防ぐには、意識して歩くことが大切です。ただ歩くだけではなく、ポイントを意識して歩くことが「転ばない体づくり」には効果的です。体は使っていないところから衰えます。いつの間にか、衰えてしまった筋力とバランス能力を、歩いて復活させることが重要なポイントとなります。

【転倒と歩行老化を防ぐ歩き方】

  1. 猫背歩行:ちょっと意識して、姿勢を正して歩いてみましょう!
  2. 膝曲がり歩行:ちょっと意識して、膝を伸ばして歩きましょう!
  3. 二直線歩行:ちょっと意識して、1直線上を歩いてみましょう
  4. 小股スロー歩行:ちょっと意識して、少し大股速足で歩いてみましょう!
  5. すり足歩行:ちょっと意識して、かかとから着地してみましょう!
  6. 足腰屈曲大歩行:無理をせず、こけないように歩きましょう!
  7. 不安定歩行:無理をせず、手すりや支持を用いて、安全に歩きましょう!

できるだけ早く、転倒しやすい老化のサインに気づき、歩き方を改善し、転倒を防ぎましょう。無理なく・無駄なく・油断なく、そしてあせらず・あわてず・あきらめず、安全に歩いてください。

歩いて転ばない体をつくる

高齢者が転んで安静にしている時間が長くなると、筋肉が衰えて足が細くなります。体重を支えて立つときや、移動するとき、不安定で転びやすく、一人で動くのは危ないので介助が必要になります。

体を動かさなくなると、筋力はもちろん、体力や気力も低下して、健康に大きなダメージを及ぼします。世界のガイドライン「WHO 身体活動・座位行動ガイドライン」では、65歳以上の高齢者は転倒予防と健康増進のために、筋力の強化だけでなく、バランスと体を思い通りに動かす力を重視した身体活動を取り入れるべきであるとしています。そして、筋力を高めることは、すべての人の健康に役立つと強調しています。

高齢化が進む日本で、いつまでも健康で自立した生活を送るために、今から元気に歩く力を維持することが重要です。今ならまだ間に合います。日ごろの歩き方を見直して、転ばない歩き方に改善することをおすすめします。歩くだけでなく、筋力強化運動とバランス運動を一緒に行うと、歩行や移動がより安定します。毎日こまめに体を動かし、ちょっと意識して歩いて転ばない体をつくりましょう。

体をを動かし、ちょっと意識して歩こう!転ばない人になる!

参考文献
『WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour: at a glance』(WHO, 2020)
『WHO 身体活動・座位行動ガイドライン要約版』 (日本運動疫学会ほか, 2021)

ARuku編集部 

おすすめ本

書籍「見直そう!歩き方 STOP!運動不足・座りすぎ・転倒」

さらに、詳しく知りたい方におすすめ!歩行が衰えているサイン、高齢者のつまずき・転倒を防ぐ歩き方と運動を、イラスト・図表でわかりやすく解説しています。職場や地域の健康づくりに、ぜひお役立てください。

 

>著者 岡本香代子の講演依頼、健康セミナー・ウォーキング講座のご相談

時代のニーズと対象者に合わせた「健康ウォーキング」を講演会でご紹介します。「見直そう!歩き方 STOP!転倒災害」「元気に歩いてのばそう健康寿命!」「家でもできる座りすぎ対策」など歩く力を維持する秘訣と重要性を発信しています。

お問い合わせは、システムブレーン(06-6444-7878)または歩行開発研究所(hokou@proof.ocn.ne.jp 072-631-1788)へ。

関連記事

PAGE TOP