生活習慣病を予防する効果的な運動と注意点

生活習慣病を予防するためには、どのような運動をすればいいのでしょうか。安全で効果的な運動として「ウォーキング」や、同じくらいの負荷がかかる運動がおすすめです。特に、生活習慣病の方が運動を行うときは「運動の強さ」が重要なポイントになります。効果的な運動と注意点を、日本の基準からまとめました。

健康づくりのための身体活動基準2013

日本では国内外の多くの研究をもとに基準が定められています。科学的知見に基づいて「健康づくりのための身体活動基準2013」が策定され、現在も活用されています。日本の身体活動基準では、生活習慣病等を予防するためには、3メッツ以上の身体活動(生活活動・運動)を行うことを推奨しています。

生活習慣病予防になる身体活動

メッツ(METs:metabolic equivalents) とは、「運動の強さの単位」です。 座っている状態が1メッツ になります。身体活動の強さを安静時の何倍に相当するかで表します。生活習慣病予防に効果的な身体活動をいくつかご紹介します。

【3メッツ以上の生活活動】

  • 3.0メッツ: 普通歩行、犬の散歩、自転車にのる、立って子どもの世話をする
  • 3.3メッツ: カーペット掃き、フロア掃き、掃除機、身体の動きを伴うスポー ツ観戦
  • 3.5メッツ: ほどほどの速さで歩く、散歩、風呂掃除、モップがけ、子どもと遊ぶ、楽に自転車にのる、階段を下りる
  • 4.0メッツ: 通勤で自転車にのる、階段をゆっくり上る
  • 4.3メッツ:  やや速歩
  • 5.0メッツ:  かなり速歩、動物と活発に遊ぶ
  • 5.8メッツ:  子どもと活発に遊ぶ、荷物を運ぶ
  • 8.0メッツ: 重い荷物を運ぶ
  • 8.3メッツ: 荷物を上の階へ運ぶ
  • 8.8メッツ: 階段を速く上る

3メッツの生活活動といえば、日常での移動手段である普通歩行です。日常生活の中でも、健康づくりになる活動が多いです。

【3~6メッツの運動】

  • 3.0メッツ:  ボウリング、バレーボール、ピラティス
  • 3.5メッツ: 自転車エルゴメーター(30~50ワット)、自体重を使った軽い筋力トレーニング、家での体操、ゴルフ(手引きカートを使って)
  • 3.8メッツ:  全身を使ったテレビゲーム(スポーツ・ダンス)
  • 4.0メッツ:  卓球、パワーヨガ、ラジオ体操第1
  • 4.3メッツ:  やや速歩、ゴルフ(クラブを担いで運ぶ)
  • 4.5メッツ:  テニスのダブルス、水中歩行、ラジオ体操第2
  • 4.8メッツ:  ゆっくりとした背泳
  • 5.0メッツ:  かなり速歩、野球、ソフトボール、サーフィン、バレエ
  • 5.3メッツ: ゆっくりとした平泳ぎ、スキー、アクアビクス
  • 5.5メッツ:  バドミントン

3~6 メッツまでの運動には、ラジオ体操や自分の体重を利用して行う軽い筋力トレーニングなど一人で取り組める運動から、仲間と楽しめるスポーツまでさまざまあります。自分にできそうな運動を見つけ、無理せずマイペースで継続することが大切です。

【6メッツ以上の運動】

  • 6.0メッツ:  スロージョギング、バスケットボール、のんびり泳ぐ、ウェイトトレーニング
  • 6.5メッツ:  山を登る(0~4.1kgの荷物を持って)
  • 6.8メッツ:  自転車エルゴメーター(90~100ワット)
  • 7.0メッツ:  ジョギング、サッカー、スキー、スケート、ハンドボール
  • 7.3メッツ:  エアロビクス、テニスのシングルス、山を登る(約4.5~9.0kgの荷物を持って)
  • 8.0メッツ:  サイクリング(約20km/時)
  • 8.3メッツ:  ランニング(134m/分)、クロール、ラグビー
  • 9.0メッツ:  ランニング(139m/分)
  • 9.8メッツ:  ランニング(161m/分)
  • 10.0メッツ:  速いクロール
  • 11.0メッツ:  ランニング(188m/分)、自転車エルゴメーター(161~200ワット)

*メッツ表は、厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」をもとに作成。

生活習慣病患者などの身体活動の注意点

生活習慣病患者やその予備軍の人、生活機能が低下している人は、運動強度に注意が必要です。

6メッツ以上の有酸素性運動や、血圧が上昇しやすい高強度の筋力トレーニングは避けた方がよいといわれています。また、メッツ値だけでなく、本人の主観的運動強度「楽である」「ややきつい」と感じる程度の強さが適切です。「きつい」と感じる身体活動は避けた方がよいとされています。

特に、持病を持っている人や高齢者が、健康づくりの運動を行うときは、安全に実施するための配慮が必要となります。

まずは、散歩程度から始め、体を動かすことに慣れたときでも、かかりつけの医師や専門家の方と相談しながら、安全に注意して、運動を続けることが大切です。

【生活習慣病患者等の身体活動量】

  • 「きつい」と感じない程度の有酸素性運動
  • 強度:3メッツ以上6メッツ未満 (歩行かそれと同等の運動)
  • 時間:1日30分~60分
  • 頻度:週3回以上

どのような身体活動でも意味がある!

生活習慣病等を防ぐためには、3メッツ以上の身体活動が推奨されていますが、3メッツ未満だからといって、健康づくりにまったく効果がないわけではありません。例えば、ストレッチングは2.3メッツですが、体が柔らかくなる、血行が良くなる、ケガを防ぐ、肩こり・腰痛を予防するといった効果があります。バランス運動や座って行うラジオ体操も、3メッツ未満だから意味がないと思うのではなく、ライフスタイルや運動の目的に合わせて少しでも体を動かしましょう。

参考文献
『健康づくりのための身体活動基準2013』(厚生労働省, 2013)
『健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)』(厚生労働省, 2013)

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ARuku編集部

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